○食の養生○

 

 毎日私たちは、誰もが生きていく上で必要不可欠なエネルギーを食事から得ています。養生する上で、呼吸と共に基本となるのが“食”です。食べ方や摂り方ひとつで、体に対して良い効果があったり悪い影響が出たりするものです。
 現代栄養学以外の食事療法には、塩や脂肪、動物性たんぱく質を抜いた大量の生野菜ジュースを摂るゲルソン療法や、玄米菜食を基本として動物性食品や白砂糖を一切摂らないマクロビオティックなど、さまざまなものがあります。実際には、栄養のバランスが悪くなり続けられなかったり、厳しくて免疫力の低下している人には不向きであったりと、治癒力を高めるための長期継続をするには難しく、これでは意味がありません。“これしか食べてはいけない”や、“絶対に食べてはいけない”といった偏った食事内容では、常に恐怖や不安による緊張感があり、かえって免疫力を下げてしまいます。
 当クリニックでは、胃腸に負担のかかる玄米単独の玄米菜食ではなく雑穀を混ぜた「穀菜食」をおすすめしています。雑穀の内容は、時代や地域によって違い一定ではありませんが、米・麦・粟・豆・黍(きび)または稗(ひえ)を指すことが多いようです。雑穀には、食物繊維やミネラル、ビタミンがたくさん含まれています。さらに、米や小麦には少量の栄養成分が含まれているので栄養バランスが高まります。副食は、緑黄色野菜や豆類・キノコ類・海藻を中心として味噌や納豆などの発酵食品も加えた内容にします。できれば、動物性タンパク質は最小限にし、魚類や豆腐・納豆などの豆製品からタンパク質を摂るようにします。肉は、牛肉より豚肉、豚肉よりも鶏肉の方がよいでしょう。つまり、四つ足よりも、二つ足にしようということです。
 食事には食材も大切ですが、味や見た目を楽しんだり、家族団らんを喜んだり楽しく食べるなど、雰囲気の要素も重要です。よい食事を摂ることで、腸内環境が改善され、浄化に役立ちます。
 また、夏の暑い時期には、すいかや茄子・トマトなどの体を冷やす食べ物を、寒い冬には、生姜やねぎ・かぼちゃなどの体を温める食べ物を摂るようにしましょう。
 これらは、陰と陽の性質がある“中国薬膳”の考え方に基づいています。五十嵐桂葉先生(保健学博士・NPO法人LET'S食の絆理事)は、現代栄養学の考え方をベースに、中国薬膳の知識を加え、日本の風土にあった独自の食事指導を行っておられます。当クリニックでは、五十嵐先生による個人指導を行っています。食事内容の見直しから献立や調理法のアドバイスまで、個別性をとても大事にされている先生の指導は、皆様から大変好評頂いております。

 
※ 五十嵐先生による食事指導は、ご予約制(水曜日)で、料金は保険適用です。(月に二回以上受講される場合は受付にご相談ください。)